艇庫工事事業公開

艇庫工事事業公開

平成22年度竣工 新艇庫(Boathouse)

概要

新艇庫は、海上のカッター等を吊り上げ海上に設置した走行クレーンを用いて建物内に引き込み格納する施設であるが、今回の艇庫には、職員事務室及び実習室の機能も併設するなど教育施設としての機能も併せ持つ複合建築物である。構造は、海上施工により鋼管杭を打設し人工地盤を築造し、その上部に鉄骨造2階建の建築物を建設した。海上土木構造物と海上建築物が混在海上に建設する、国内構造物でも非常に少ない事例です。

工事名
受注総金額(円)
施設概要
受注者
弓削商船高専艇庫新営その他工事
233,247,000
建築面積 634.42m2
延べ床面積  718.00m2
構  造  鉄筋造 地上2階建
海上専有面積  1,152.21m2
五洋建設株式会社
弓削商船高専艇庫新営電気設備工事
24,150,000
基 礎 形 式 鋼管杭・中堀工法/RC人口地盤
基礎連結形式 ベースパック柱脚工法
伊予テックサービス株式会社
弓削商船高専艇庫新営機械設備工事
11,550,000
主要床仕上 防塵塗装(水性アクリル樹脂)
主要壁仕上 押出成形版(フラットパネル+)ポリウレタンエナメル塗装
天 井 仕 上 珪酸カルシウム板+合成樹脂エマルション塗装
有限会社有吉水道
工 事 総 額
268,947,000
屋 根 仕 上 カラーガルバニュウム鋼板+耐久性フッ素樹脂塗装
附 属 設 備 天井ホイストクレーン(吊荷重1t)
ボートダビット/渡り桟橋+カッタ―吊り場
 

基礎工事

中堀工法は、鋼管杭内でアースオーガを挿入、管内で土砂を掘削・吸引する方法のため、海底土砂が巻き上がらず、周辺海域への生態系への影響が少なく、環境に配慮した工法といえる。

起重機船が巨大であるため、満潮時でないと、内湾の浅瀬での作業は不可能であるため、潮待ち作業、まさに時間との勝負である。

  • 基礎形式として杭打設(中堀工法)を採用
  • 直径600m/m L=8m N=21本
  • 直径600m/m L=8.5~14m N=21本
  • 直径500m/m L=10~16m N=13本

床盤工事

人工地盤上の生コンクリート打設は大面積のため、ポンプ車のブーム延長が足りなくなり、2台のポンプ車による打設に発展、大規模なものになる。

また、1区画100㎥以上の打設となり、生コンミキサー車が30台超を縦列補給したため、運行ルートは一般車両の渋滞防止のため、交通整理人を配置することとなる。

なお,鉄筋コンクリート製の人工地盤は、夏季の大面積打設時におけるコールドジョイント防止のため、5区間に分割施工されている。

鉄骨工事

基礎~鉄骨連結は一般的なベースパック柱脚工法で行い、工期短縮の必要性から2機のクレーン(写真は右からラフテレーンクレーン、クローラクレーン)により鉄骨構造部(主柱H-588*300、主梁H-300*175)が組立てられる。

仮設工事

外構足場は手摺先行工法によるガイドラインを採用、転落事故防止対策として足元の安全強化を施している。

安全シートは海からの風対策として細目ネットを使用し、風が通過するものとすることで、強風対策としている。

既設CON工事

壁面はコスト縮減の観点より通常、ALC版とするところを押出成形版としている。

また本材料は、ALC版のように材料内部に鉄筋が入ってないことから錆びることがない。

完成

旧艇庫では、艇庫と舟艇管理室が分かれており、実習等での学生動線の把握が難しかったが,新艇庫では艇庫と舟艇管理室を1棟に収めることにより、効率的運営が可能となった。